社会保険労務士法人なみはや事務所

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「派遣にかかわる2018年問題について」

「2018年問題」は、どの派遣会社さんにとっても懸案の最重要課題です。ご存じのように 労働契約法や労働者派遣法の改正により、2018年は、労働契約法の「5年ルール」での無期転換申込み権の発生と改正派遣法の抵触日を迎えることによる「雇用安定措置」への対応が同時期に集中します。派遣元事業主にとって対応の難しい課題が待ち受けています。

2018年問題の概要

最初に 「2018年問題」の概要とスケジュールを図Aでご確認ください。さらに4つの課題の詳細を確認する場合は、スライダーをクリックして図Bから図Eをご覧ください。

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2018年問題の詳細

課題①
(図B)は、有期雇用派遣労働者の「5年ルール」による無期転換権の問題です。2013年4月1日起算で反復更新した有期雇用派遣労働者の契約が5年を超えることになります。派遣元は、個々の有期雇用派遣労働者を無期化するかどうかの選択を迫られることになります。
課題②
(図C)は、「旧特定派遣事業者」の廃止に伴う3年間の経過措置が2018年9月29日で終了します。必ず 期限までに「旧一般」への切替をしなければなりません。なお、常時雇用される派遣労働者5人以下の「旧特定」派遣元が、「旧一般」に切り換えるための財産的要件の暫定措置も同時に終了します。
課題③,④
(図D,E)は、2015年9月30日施行の改正派遣法により設けられた2つの派遣可能期間の抵触日です。「個人単位の派遣可能期間」と「事業所単位の派遣可能期間」はともに3年で、2018年9月30日に抵触日が到来します。派遣労働者の立場からみれば、長くとも3年で職場を変えなければならないことになりますので、3年派遣就業した後で次の就業先がなければ職を失う場合があります。このため、派遣法は、派遣元に対して、派遣労働者の雇用が継続されるようにするための措置を講ずる義務を課しています(「雇用安定措置」)。そのため、「個人単位の期間制限」が到来する派遣労働者が継続して就業を希望した場合には、以下の措置が必要になります。
  • ①派遣先への直接雇用の依頼
  • ②新たな派遣先の提供
  • ③派遣元事業主による無期雇用
  • ④その他雇用の安定を図るために必要な措置
一方、事業所単位の派遣可能期間の抵触日も同時期に到来しますが、この抵触日は一定の手続きを経てさらに3年まで延長することができます。この手続きが派遣先労働組合の意見聴取です。抵触日の1か月前までに意見聴取を終了しておくことが求められています。
「個人単位の派遣可能期間の抵触日」が一番厄介です。多くの派遣元は②新たな派遣先の提供 又は③派遣元事業主による無期雇用を選択するでしょう。③を選択すれば、今後「抵触日」を気にせずに同一人物を派遣就業させることが可能ですが、受入派遣先を継続して確保できるかが課題です。それが難しい場合には②で対応することになりますが、これも派遣元がうまく派遣先をマッチングできるかどうかです。求人難でいい人材が不足する中で、多少のリスクを承知で、優秀な派遣労働者を無期雇用で対応するケースが出てくるのではないでしょうか。